「ヘルニアと言われたんですけど」という問い合わせを頂きます。
犬のヘルニア、よく聞きますよね。
特にダックスやコーギーなど、胴長のコに多いと聞きますね。
ヘルニア、特に椎間板ヘルニアについては先生によって考え方が色々あるみたいです。
ヘルニアには種類がある
ヘルニアには「椎間板ヘルニア」「鼠経(そけい)ヘルニア」「臍(さい)ヘルニア(いわゆるデベソ)」「会陰(えいん)ヘルニア」など種類があります。
いずれも脂肪や腸などの臓器の一部が本来あるべき場所から飛び出してしまう事を言います。
膀胱が飛び出した場合は排尿障害が出るし、腸が飛び出した場合はそこに便が溜まってしまいます。
臍ヘルニアや鼠経ヘルニアなどの手術は飛び出た臓器を戻して穴をふさいで終わり。
なんだか中身の飛び出たぬいぐるみの修繕のような手術です。
整体で言うヘルニアとは主に「椎間板ヘルニア」のことをいいます。
犬の椎間板ヘルニアについて
椎間板ヘルニアの場合、飛び出すのは骨と骨の間にある椎間板という組織です。
人の場合、椎間板ヘルニアになる原因は重いものを持ったり中腰で仕事をしたり、
腰への負担の積み重ねが原因です。
犬の場合はどうでしょうか?
サーカスや大道芸のワンちゃんはそのような負担があるかもしれないですが、
犬は長時間同じ姿勢で耐えることもありません。
重いものを持つなど急激な圧力がかかることも普通では考えにくいです。
犬の椎間板ヘルニアの原因は「加齢」と「遺伝」と言われています。
よくなりやすいと言われるのはコーギーやダックスなどの胴長の犬種ですが、
胴長短足を作るための遺伝子が関係しているという事です。
椎間板ヘルニアは初期の頃は痛みがありますが、進行すると麻痺で歩けないのはもちろん痛みすら感じなくなります。
後ろ足の肉球を鉗子で強くはさんでもぶらーんとしたまま無反応なのです。
そうなるとおしっこの感覚もないので垂れ流しとなります。
整体で何ができるか
「ヘルニアと言われたけど整体で治りますか」と聞かれます。
ヘルニアは上で述べたように本来あるべき位置から突出することをいい、
整体で突出した椎間板を戻すなんていう事はできません。
ヘルニア自体を治すのは整体ではなく獣医さんの役目です。
ヘルニアを獣医さんで治しながら筋肉のケアを整体でしていく、というのが
正しい整体の使い方だと思います。
ヘルニアは正しい姿勢を維持することで自然と消滅する事もあるそうです。
整体で出来る事はヘルニアによって負担のある部分をケアするというようなサポートです。
椎間板ヘルニアは獣医さんによってはケージレスト(一定の期間ケージで安静にすごす事)を指示される事があります。
ケージレストは効果もあるようですが動かさない筋肉はあっという間に衰えてしまうので
整体の観点からは「うーん」というのが正直なところ。。。
メリットばかりではないような気がします。
ケージレストしないといけないような事態にまでならないようにケアしてあげたいですね。
犬が痛みに強い事を忘れないで
犬は痛みに強い動物です。
弱いところは極力隠して見せてくれません。
自然界では弱さは死につながるので当たり前ですよね。
多くの飼い主さんが「急に立てなくなった」「突然動けなくなった」とおっしゃいますが昨日今日突然発症したわけではないんです。
(原因が遺伝の場合は突然発症するようです)
不調はあったが隠していてそれが隠せないくらいひどくなった、というのが正しいのはないでしょうか。
人は痛みがひどくなる前にしびれがあったり違和感があったりしますよね。
それを放置して痛みへとつながる。
犬にも痛みが出るまでの過程があって当然だと考えるのが自然だと思います。
痛みに強い犬が歩けない、動けない、そこまでひどくなると痛みを取るために
薬や外科的治療に頼らざるを得なくなります。
治療費もかかるし入院や通院しないといけなくなったり、、、
本犬や飼い主さんの負担やストレスも大きくなります。
私は同じ額かかるとしたら治療にお金をかけるより予防にかけるお金の方が
リスクが小さく愛犬の負担も少ないのでいいな、と思うのですが皆さんはどうですか?
(動物病院に勤めていた私が言う事ではないかもしれませんが極力獣医さんにはかかりたくないと思うのです笑)