「つまずく」「滑る」「転ぶ」ことが増えた。
お客様からもよくご相談を受ける犬の変化です。
私も老犬がいるので本当にこれらの変化は実感しています。
シニア期の犬によく見られるこうした変化は、加齢にともなう筋力低下や感覚の鈍化、動作パターンの変化によって起こることが多いと思います。

シニア犬はかわいいものです
関節の可動域が狭くなったり長年の筋力のアンバランスや姿勢の崩れで左右の筋肉の使い方に偏りが出たり。
これらが重なった結果、踏ん張りが効かず、足を持ち上げる動作が小さくなり、滑ったり転倒したりしやすくなります。
■ナックリングでお悩みですか?
「ナックリングとは?シニア犬が後ろ足を引きずる原因と家庭でできるケア方法」
■ 足が滑る、上がらない、転ぶ
すべり止めのマットを敷いているけど、それでも滑るようになる。
自力で立ち上がるのに苦労している。
ちょっとしたところで足が滑ったり、引っかかって転んでしまう。
特に後ろ足。
前足に比べて筋力低下になりやすく動きのぎこちなさが目立ちやすいのかもしれません。
立っているときに後ろ足がスーッと横に流れてしまったり、踏ん張っているように見えても実は力が入っていないなど感じたことはありませんか?
触るとおもちのような柔らかいペタペタした細い筋肉ではありませんか?
マットを敷いていてもうまく踏めていないように感じたり、「滑ってる」というより「支えきれてないのかな」と思うような動きになることがあります。

イスの足が越えられなくなった
また、歩いている姿を見て「なんだか足が上がっていないな」と思ったことはありませんか?
以前はヒョイと超えていた玄関の段差につまずいたり、足先がじゅうたんの端に引っかかるようになったり。
これは、足を前に出すときの可動域が小さくなっていたり、筋力が落ちていたりといった変化が影響している可能性があります。
さらにはとっさに体勢を立て直せずそのまま転んでしまうことも。
若いころはふらついた程度で済んでいたような動きでも今はそのまま倒れてしまう…
視力や平衡感覚なども年齢とともに変化していくため、全体的に「バランスを保つ」ことが難しくなるのだと思います。
こうした「滑る」「上がらない」「転ぶ」はどれも単体で起きているわけではなく、少しずつ進んでいる身体の変化が重なって表れているのです。
それだけに日常の中で気づける小さな違和感を見逃さずに捉えることがとても大切です。
■「滑る・上がらない・転ぶ」に対する具体的なケア
整体では、動きにくくなった筋肉をゆるめることで力が入りやすく動かしやすい状態に整えることを目的としています。
シニア犬に見られる「滑る」「足が上がらない」「転ぶ」といった状態には、以下のような筋肉のケアを行います。
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股関節まわりの筋肉を緩めて足を前に出しやすくする
高齢になると、大腿四頭筋や内転筋(股関節周り)がこわばり、足を振り出したり蹴り出す動きが小さくなりがちです。
これらを緩めることで可動域が確保され筋力維持につながりやすくなります。
猫背の改善も期待できます。 -
ふくらはぎの筋肉を緩めナックリング予防
ふくらはぎの 筋肉のこわばりが強いとナックリングしやすくなってしまいます。
またおすわりしにくい理由の一つでもあるのでしっかりゆるめたい筋肉です。 -
肩甲骨まわりの筋肉を緩めて前足への過剰な負担を軽減する
後ろ足の踏ん張りが弱くなってくるとそのぶん前足で体を支えようとします。
犬はもともと前足加重ですがさらに前足「過」加重になります。
肩甲骨まわりの筋肉(僧帽筋・菱形筋・前鋸筋など)が硬くなると、前足が動きづらい、前のめりになる、首が上げにくい、猫背などにつながっていきます。
こうした状態が続くと足が広がっていく、踏ん張っているのに滑ってしまう、じっと立っていられない、歩いていてフラつくといった動きの不安定さが増します。
肩甲骨まわりを緩めることで前足が動かしやすくなり歩き出しや立ち上がりがスムーズに変わることがあります。
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左右の筋肉の緊張差を整え偏った使い方を修正する
一方の足ばかりに力が入っていたり左右で着地のタイミングがズレていると、ふらつきやすく転倒しやすい状態になります
緊張の偏りを整えることで左右の動きの差が小さくなり安定した歩行につながります。■階段の上り下りが特に心配な飼い主さんへ
「坂や階段の下りが心配な人必見!下りの時に重要なのは腰じゃなく肩甲骨」

シニアさんはぜひお試しを
整体でのケアは、筋肉をゆるめることで、再び使える状態に整えていくことを目的としています。
動きが小さくなっている原因の多くは「使えない」ではなく「使いにくくなっている」こと。
その段階で気がつきケアしていく事で本当に使えなくなる状態をすこしでも先送りにしましょう。
そうした筋肉の状態に対して整えていくのが整体の役割です。